卒業式−もう一つの出来事−

謝恩会の最中、ずっと美咲ちゃんに言葉を掛けるタイミングを探していた。
西本さんや平野さんが興味本位で「最後に告白せーへんの?」って言ってたけど、
僕の好きな人を勘違いしてるんだろうなw多分、木曽さんだと思ってるんじゃ?ww
謝恩会では声を掛けるタイミングがあるにも関わらず、最後の一歩が踏み出せなくて・・・。
そうしてるうちに謝恩会が終わり、みんな記念撮影をしてる。
そしてやっと美咲ちゃんの前で出た言葉が「一緒に写真とりませんか?」だった。
結局、藤井さんと美咲ちゃんとで撮ったけど、その時点の僕はそれでいっぱいいっぱいだった。
写真を撮った後、僕はクラスメイトと話をしてて、目は美咲ちゃんを捜してたけど一瞬見失う。
「ヤバイ!」
このときは本当に焦った。「もう帰ってしまったんじゃ?」と。


美咲ちゃんを見つけたときは別室へ荷物を取りに入りかけてるところだった。
「もう今しかない!」そう思って美咲ちゃんの肩を後ろからトントン!ってたたいた。
振り向いた美咲ちゃんに、
『ちょっと話したい事があるんだけど・・・』
と、みんなから少し外れた所へ移動
美咲ちゃんが
『あっ!あれ(一言書いたメモ)持ってきてくれました?』
僕は
『あっ!あれカバンの中やw』
美咲ちゃんは
カバンにあるのになんで呼ばれたのか?と少し困惑気味。
次に僕は、


『ここで言わんと絶対後悔するから言うねんけど、』


『美咲さんのことが好きです。』


美咲ちゃんは驚いてた。


『えっ!わたし?えっ?なんでですか?』


『いや、なんでって言われても困るねんけど(笑)』


次に僕は逃げに入ってしまった。
断られるのが怖くて・・・・。


『彼氏とかいるやろうから、付き合うのは無理やと思うけど、最後に気持ちを伝えようと思って』


美咲ちゃんはどう返して良いのかわからず、


『ありがとうございます』


これで会話が終わってしまった。
僕はなにをやってるんだか・・・。


帰り道は放心状態でした。
どうしてあのとき「付き合ってください」の一言が言えなかったんだろう。
なんで言葉を濁して逃げてしまったんだろう。と、そればかり考えてました。


家に帰ると、胸がグッと締め付けられる。
美咲ちゃんへの想いと自分が言えなかった言葉で・・・・。
いままで告白してフラれても、別れてもこんな苦しい事はなかった。
「胸ガ・・・イタイ」
これが本当に好きってことなのかと今更ながら痛感する。
「好き」が言えて「付き合ってください」が言えないなんて・・・。